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Miho Sato

Author:Miho Sato
「舟遊び みづは」運営主体の、株式会社フローティングライフ代表取締役。
江戸の人が遺してくれた東京の水辺は貴重な財産。数名で貸し切れて、江戸工芸に触れて楽しみながら、ゆったりと江戸の粋や情緒、名橋の数々を満喫できる舟遊びを提供します。
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03月12日(火)

人知れず地下に横たわる巨大トンネル-調節池

分水路見学の次は、地下調節池。地下調節池とは、集中豪雨などで氾濫した川の水を取り込んで巨大な地下トンネルに流し込むことにより、洪水被害を防ぐものです。
今回は、中野の方南町にある、こちらへ。
写真 13-02-26 14 12 11

善福寺川の護岸に穴が開いています。奥には網が張ってあり、ビニール袋などが沢山引っかかっていました。
増水した川の水は、ここから地下へと落ちてゆくのです。
写真 13-02-26 14 11 16

その状況を監視するのがこちらのモニター。
写真 13-02-26 15 10 44

調節池の各機能を監視・制御する部分。
写真 13-02-26 15 07 22

写真 13-02-26 15 10 10

模型で水がどのように調節池に落ちていくのか説明してくれます。
写真 13-02-26 14 57 23

殆ど水のない善福寺川が氾濫するとは想像しにくいですが、DVDで見た台風の時の映像では、護岸を越えて道路に浸水していました。川幅が狭いので、一気に来るようです。

善福寺川から取り込まれる濁流の水は、竪穴を回転しながら入る仕組みで、勢いを減じられながらいったん減勢池に溜められ、そこから直径6メートルの導水路を通って、環状七号線の下に掘られた直径13.2メートル、長さ4.5キロの調節池に流れこみます。直径はビル4階分に相当し、調節池は水54万トンの容量(25メートルプール1800個分)があるそうです。川の水位が平常に戻ったら、今度は溜まった水をポンプで汲み上げて川に放流するとのこと。

こちらは、各調節池の水位がわかるモニター。渇水期なので、少ししか水は入っていませんが、この水は消防署との契約で、消火や緊急用に6万トンの水を貯めておくのだそうです。
写真 13-02-26 15 07 30

さて、いよいよ調節池に入ります。地下43メートルに横たわる闇の中へ。エレベーターの定員に限りがあるので、階段を下り、入り口へ。
写真 13-02-26 15 24 40

厚みが1メートルがあろうかと思われるハッチドアをくぐって降りていくと、竪穴から水が落ちてくる減勢池に出ます。上の穴から落ちてくるんですね。1時間50ミリの雨量を想定しているそうです。ちなみに日本で最大の時間雨量の記録は1時間187ミリ(1982年、長崎)とのこと。
CIMG6698.jpg CIMG6670.jpg

案内役の方の懐中電灯の明かりを頼りに導水路を歩きます。
CIMG6680.jpg

地元の小学生が書いた絵が彩りに飾られています。ちなみに小学生がここに来て描いたわけではないそうです。
CIMG6677.jpg

「ヒ」というのはヒビの事。ヒビが入っているところは白く色づけられ、補修されます。
CIMG6679.jpg

白地図のような模様になってますね。年間の保守費は1億円だそうです。
CIMG6690.jpg

導水路から地下調節池に出ました。この真上は、環七が走っているわけです。この様に深く掘っているのは、地下鉄、上下水道、ガス管などを避けて大容量を確保するため。貯めてある水が消防用です。この穴を掘るのは、普通のトンネル工事と同じ、シールド工法。
CIMG6683.jpg

当然携帯は圏外。地上との連絡は無線です。年間を通じ温度はほぼ一定していて、18~20度。夏は涼しくて快適だそうです。

ライトに照らされた影が水のトンネルに映り、なかなか不気味な雰囲気。
CIMG6686.jpg

ここで、係員の方が、真っ暗闇体験をさせてくれました。ライトを消すと広がるのは漆黒の闇。善光寺のお戒壇巡りのようです。ここで毎日点検作業や修理をするのも大変だなぁ、と思います。

約10年の工期、1010億円をかけて完成したこの4.5キロの巨大トンネル。調節池ができる前、平成5年の台風では、3000戸以上が浸水したそうですが、ほぼ同雨量の台風が襲来した平成16年の浸水は46戸と、効果は大きいようです。調節池に水が流れ込むほどの豪雨は、これまで毎年1~2回あったそうです。
CIMG6695.jpg

実は江戸~大正期には、洪水の被害は現代ほど起こっていなかったとのこと。温暖化で台風が巨大化したり、ゲリラ豪雨が頻発していることもありますが、最大の理由は宅地化だそうです。この付近は、雑木林や畑だったので、水が浸み込む逃げ場があったのが、宅地化により行き場がなくなった水が、幅の狭い川に一気に流れ込む状況に至ったということ。

自らが作り出した原因に翻弄され、その防御、減災のために巨額のお金が使われる。人間の暮らしを第一とするのなら仕方のない循環なのでしょうし、今更東京の都市部を農地化することは現実的でもありません。でも、地球は、天は、これをせせら笑っているのかもしれません。

なーんてことを思いつつも、人知れず横たわるこの巨大トンネルとそこに結集された技術はコンテンツとしてとても面白かったです。冬場を中心に東京都公園協会で企画があるようですので、興味のある方はぜひお申込を!誰でも参加できますよ。ただ、往復はがきで申込っていうのがね~(笑)
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