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Miho Sato

Author:Miho Sato
「舟遊び みづは」運営主体の、株式会社フローティングライフ代表取締役。
江戸の人が遺してくれた東京の水辺は貴重な財産。数名で貸し切れて、江戸工芸に触れて楽しみながら、ゆったりと江戸の粋や情緒、名橋の数々を満喫できる舟遊びを提供します。
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02月18日(金)

頭は「カシラ」、文楽に少し詳しくなった夜

国立劇場の小劇場で文楽。文楽は人形浄瑠璃とも言いますね。近松門左衛門の名前は文楽を見た
ことがない人でも聞いたことがあるのでは?今日は、始まる前に人形の頭(カシラと言います)
について説明してくれるセッションがありました。講師は国立文楽劇場(大阪)の文楽技術室
所属の村尾さんです。
kashira3.jpg

カシラの材質はヒノキで、芯の部分を使うと割れて来るので樹齢60年以上の大きな木の、芯が
入らない部分を使うそうです。作り方は、
1.立方体の木から彫刻のようにカシラの形を彫り出す。
2.カシラを前後に割って中をくり抜き、口、眉、目等を動かす仕掛け(=からくり)を組み込む。
3.和紙で溝を埋めて前後を貼り合わせる。
4.胡粉やベンガラと膠を混ぜて色を付ける。
このあと、床山さんが、鬘を作って釘でカシラに打ち込みます。

カシラにはそれぞれ人間と同じく性根(しょうね)というのがあり、それに合わせて、からくりや
目鼻立ち、形が変わるそうです。例えば、苦悩する武将は「文七」といい(役名とは違います)、
眉をからくりで上げると、眉間のシワが見えるようになっています。
kashira2.jpg

公演が決まると、カシラ割という人形のキャスティングが行われ、そのたびにカシラを役に合わせて
色を上塗りして行き、鬘も毎度釘で打ち付けるとのこと。度重なる上塗りで、だんだんカシラは重く
大きくなって行くそうです。毎回色を落としているわけではないんですね。また、鬘の釘穴もどんどん
増えていきます。20年ほど使ったら、全ての塗装を剥がし、釘穴を埋めて補修する「はぎ塗り」を
行い、キレイに再生したものをまた使うそうです。素敵なリサイクル。

カシラの話を聞いたのは初めてで大変面白かったです。演目が始まると、説明してもらったカシラの
動きに目が行きます。三味線を習い始めたのでそちらにも目が行きます。私が習っているのは長唄
三味線なので、文楽の義太夫三味線とは違うのですが、構えや指の動きに吸い寄せられました。糸が
切れた瞬間があったのですが、慌てる様子も無くササッとつけ直していて凄かったです!

今日の演目は義経千本桜。1つめの「渡海屋大物浦の段」は、平知盛が碇の綱を体に巻き、碇に引っ
張られて海に落ちていくラストシーンが有名です。歌舞伎の知盛は、最後に背中からポーンと後ろに
飛んで落ちて終わるのですが、文楽では、引きずられて逆さまにズルズルと落ちていく形でした。
人間と人形、それぞれの表現を比較できて面白かったです。

2つめの「道行初音旅」は踊りの演目。静御前と、静御前を義経のもとに連れて行く家臣忠信(実は
狐)の道行が、桜満開の吉野山を舞台に踊りで表現されます。春らしく華やかなセッティングです。
人間の踊りと違い、3人の人形遣いが、1つの人形をよどみなく優雅に舞わせる技は素晴らしいです。
人間国宝の吉田蓑助さんが遣う静御前は、首の動きが柔らかくたおやか。表情が決まっているはずの
カシラに豊かな感情がつまっているように見える名人芸。堪能しました。

歌舞伎と違って世襲ではなく、誰にでも門戸が開かれている文楽。今日のようなレクチャーを若い人
や子供向けにもっとやってくれたら、文楽が就活の一つの選択肢になる日も来るんじゃないかなぁ。
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